第5回 中学生の「受験勉強と自立」


今、中学3年生は受験勉強の真っ只中ですね。受験期を迎えた子どもがどんどん学力を伸ばしていけるかどうかは

勉強のやり方や、理解力というものより、根本的なところでいえばその子の「自立」の程度によるところが大きいです。

 

では、中学生が「自立」するにはどうしたらよいか。それには、親のするべき第1歩と、子どもがするべき第1歩があります。

 

 

まず、中学生が「自立」するために親のするべき第1歩

 

思春期で、心の不安定な15歳の子がしっかり「自立」できるのかという指摘もあります。確かに親(大人)から見ればそうです。だから、周りの人間が悩みながら、苦しみながら成長する15歳に「自立」する環境を整えてあげなくてはいけない。環境を整えると言っても、子どもに何かをしてあげるのではありません。むしろその逆です。木の上に立ち、子どもの様子を見る「親」という字のごとく子どもの行動を見なからある程度の距離感を保つことが必要です。だから、親のするべき第一歩は「目は前に、手は後ろに」ということです。

 

子どもが言うことや、やることをよく見る。だけどそれは遠くから、本人には見られていると気づかれないようにです。そして、いちいち否定したり、手をさし出したりせず、まずは子どもの言うこと、やることを受け止めましょう。その後で、本当にダメなことであれば親としての考えを説明すればいいのです。

 

子どもは、自分の考えを親に受け止めてもらえることで「自立」できていきます。 

 

次は、中学生が「自立」するために子どもがするべき第1歩

 

結論から言うと「自分自身をよく知ること」です。そのためには「自分で問題点を認識し、自分で解決する」という経験を何度もすることです。人は誰でも自分が一番かわいいものです15歳の中学生ならなおさらです。だから、何か都合の悪いことがあれば自分以外のせいにするのはよくあることです。

 

例えば、

朝起きれず遅刻したとき

「昨日部活で疲れていたから」とか

「お母さんが起こしてくれなかったから」とか

「朝、すごく寒かったから」とか

自分が遅刻しないように起きなかったのではなく周りの何らかの理由で起きれなかったから「自分に問題はない」と考える。

 

学校の提出物を忘れたとき

「昨日やろうと思ったけど、他の宿題があったから」とか

「先生が前の日に言ってくれなかったから」とか

「提出日を黒板に書いてくれてなかったから」とか

自分が提出物を忘れたのではなく他に原因があるとして、自分を正当化し「自分は問題ない」と考える。

 

こうした、自分にある問題点を認識しないままでは「自立」はいつまでたってもできません。「なぜ朝起きれなかったのが」「なぜ提出物を忘れたのか」、その原因は自分にあり、どうすればよかったのかを考え、解決することで自立への大きな一歩を踏み出すことになります。

 

 「自分の身の回りで起こることは自分の行いに関係している」ということを認識することは大人でも難しいことですが、自立への道はここからです。